入れ歯安定剤は本来不要?安定剤のいらない総入れ歯
テレビCMもされているほど一般的となっている入れ歯安定剤。
入れ歯安定剤は入れ歯の方には必須のものなのでしょうか?実は入れ歯安定剤は本来不要なものなのです。
そもそも総入れ歯がしっかりしていれば安定剤は必要ない
外れやすい、痛い、噛めない理由
入れ歯が安定しない方は外れやすく、痛みがあって噛めない等の症状が出やすいです。
この状態では入れ歯安定剤に頼ることになりやすいです。
改善するには入れ歯を調整して安定させるか、ズレの少ない入れ歯を製作するかを検討する必要があります。
当院では上下の顎を同時に型どりして製作する総入れ歯をおすすめしております。
この特殊な方法を用いた総入れ歯は、保険診療で製作した入れ歯に比べて入れ歯安定剤に頼らずに、ズレの少ない入れ歯を製作できます。
当院では所属するスタディーグループで月2回の研修を行っており、またこの方法を用いた総入れ歯の治療について学会でも発表しております。
入れ歯安定剤自体がダメである
歯肉や顎の骨が圧迫されてしまい薄くなってしまう
入れ歯の不適合や咬み合わせの不調和が著しい場合に入れ歯安定剤を使うとします。
フィットしていない状態を入れ歯安定剤で無理やり適合させることになり、顎の骨の状態が悪化することになりかねません。
この場合、治療途中で先生の指示により短期的使用なら大丈夫ですが、自己判断で長期的に使用を続けると問題があります。
カビの温床となってしまう、誤嚥性肺炎などのリスクも?
入れ歯安定剤を使用した入れ歯の清掃を怠ると、バイ菌の繁殖を助けてしまいます。
特にカンジダ菌は入れ歯に付着して繁殖しやすいです。
普通にしていてもカンジダ菌などが付着しやすいのに、入れ歯安定剤が残っていればもっと菌の繁殖につながりやすくなります。
カンジダ菌をほったらかしにすると、歯肉の炎症や顎の骨を溶かすことになります。
また免疫力が弱まり、さらにカンジダ菌が繁殖すれば、誤嚥性肺炎のリスクも高まるので注意が必要です。
ちなみに、入れ歯安定剤の使い方についてルールブックには、一時的に使うのはOKだが原則的には定期的に歯科を受診すること、と記載されております。
まとめ
入れ歯は自分の歯とは違い、骨の中に埋まっているわけではありません。
歯肉の上にのっているだけなので、サポートする力はやはり限られています。
総入れ歯は非常に咬み合わせの適合や、外形の設計が難しいです。
フィットしなければ、どうしても入れ歯安定剤の効力に頼りたくなります。
その気持ちもわかりますが一度歯科医院を受診していただき、専門家に診てもらうことをおすすめいたします。
入れ歯は他の人と比べられないので、ご自身ではどのような状態なのかわかりにくいかと思いますが、状態が改善する方法や処置が見つかるかもしれません。
入れ歯に興味をお持ちの方は、ご質問やご不明な点などお気軽にご相談いただければと思います。
神奈川県茅ヶ崎市 岩田歯科医院 院長 岩田直之